2015年12月13日日曜日

ヘンデル トリオソナタ作品2









豊かで開放感のある音楽

 クラシック音楽には聴いているだけでも、気持ちが落ち着きスッキリする作品があります。
 さしずめ、私にとってヘンデルのトリオソナタ集はそれに相当する作品といえるかもしれません。「どこがどういいの?…」。と言われてもなかなか「こうだ!」と断定しにくいのですが、一つ言えるとしたらは何ともいえない安心感でしょうか……。
 これはヘンデルの作品に共通することですが、豊かで開放感があり、音楽が絶えず呼吸するように広がっていく感覚があるのです。

 曲調は至って平易で、メロディも馬鹿正直なくらいストレートなのですが、聴いた後の充足感はいったい何なのでしょうか……。
 他の作曲家のように音楽の要素に余計な混合物がなく、途中で喉につっかえる感じがない……。つまりどこまでも自然で端正な音楽なのです。

 トリオソナタ集はヘンデルの作品の中でも比較的地味な存在なので、録音は決して多いとは言えません。しかし、このような作品でも、一度名演奏に遭遇すると、たちまちその魅力にとりつかれ何度も聴きたくなってしまいます。


ホリガー、ブルグ、
トゥーネマンの名演奏 

 名演奏と言えば、やはりオーボエに名手ホリガーとブルグ、ファゴットにトゥーネマンを揃えた豪華競演盤(DENON)が最高です。
 文字通り、端正な表情を生かしつつ、あらゆるパートが絶えず呼吸するように生き生きと再現された演奏と言っていいでしょう。
 
 たとえば、変ロ長調HWV388の最初のアンダンテの青空にこだまするような格調高く澄んだオーボエの響き!それに続くアレグロのせせこましさのない生き生きとしたハーモニー! メリハリが利き、自然と音楽の喜びが伝わってくるようです!

 歌わなければ魅力が半減するこの作品集で、彼らの音楽の語らいは実に心地よく、ひとときの穏やかな安らぎの時間を約束してくれることでしょう!