2012年1月7日土曜日

ベートーヴェン第九演奏会(NHK交響楽団)



スクロヴァチェフスキの第九演奏会


Stanislaw Skrowaczewski (© Toshiyuki Urano)








ベートーヴェン第九演奏会

昨年の12月22日、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキの指揮とNHK交響楽団によるベートーヴェンの第九演奏会に行ってきました。
実はスクロヴァチェフスキの指揮に接するのは今回が初めてで、はたしてどんな演奏を披露してくれるのだろうかと期待感で胸がワクワクし通しでした。

第1楽章は早めのテンポと快適な響きで始まりました。ツボをおさえた力感溢れる演奏が展開されるのですが、もっとティンパニが鳴り響いてほしいとかオーケストラの合奏部分に重量感がほしいとか思いながらも、「やっぱりこの神秘的な第1楽章を目一杯鳴り響かせるのは至難の技なのかな…」と思いつつ、あっという間に第一楽章は終わってしまったのでした。

しかし、第2楽章になるとその速めのテンポや快適な流れが水を得た魚のように生き生きとしてきます。随所に響くティンパニの響き、合奏部分も立体的でいよいよ意味深い響きを獲得していったのです!

第3楽章になるとますます充実した演奏が展開されていきました。この楽章のテーマは「傷ついた孤独な魂と回想」だと思うのですが、スクロヴァチェフスキの奏でる弦の響きは深く、哀愁に満ちた美しい音色を紡ぎ出し、この楽章を心ゆくまで堪能させてくれるのでした。

第4楽章は絶望から希望へと最も難しい感情の変化を表現しなければならないクライマックスの部分です。声楽も加わってくるため、複雑な要素が絡み合い指揮者の力量が試される音楽だと思います。しかし、スクロヴァチェフスキの場合は細部を磨き抜くよりは委細構わず正攻法で挑み、剛毅で雄大な響きを生み出しました!国立音楽大の合唱も素晴らしかったですね!単に合唱のパートとしてではなく、オーケストラの響き同様にエネルギッシュな森羅万象の響きとして響いていたところを評価したいと思います。独唱陣も力みすぎず、伸びやかな自然な発声を心がけていたのが印象的でした。年末にこのような素晴らしい第九にめぐりあえて本当によかったと思います。

こうしてコンサートが終わって思ったのは、数年前に公演されたスクロヴァチェフスキの「ミサ・ソレムニス」の演奏会のことでした。実際にこのコンサートを体験された方が異口同音に「良かった!」と言われているのを思い出し、今さらながらこの名曲の名演奏を聴き逃してしまったことが残念で仕方ないのでした。

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2012年1月3日火曜日

1960年から1970年代のイージーリスニングを振り返って3





イージーリスニング黄金期を振り返る3
(フランス編)


ポール・モーリア
(Paul Mauriat, 1925 - 2006)

 イージーリスニングと言えばまずポール・モーリアの名前が出てこなければやはり嘘でしょう。そう言っても不思議でないくらいポール・モーリアはイージーリスニング界に絶対的な足跡と存在感を残しました! 彼の名前を一躍有名にした「恋は水色」は全米ヒットチャートのトップを何週も記録し、哀愁が漂う独特のムードの「エーゲ海の真珠」はイージーリスニングの常識を決定的に変えました。
 その後も「蒼いノクターン」、「涙のトッカータ」、「薔薇色のメヌエット」、「オリーブの首飾り」、「想い出のランデブー」等ヒット曲を連発し、イージーリスニングの押しも押されぬ黄金時代を築いたのは皆さんもう充分ご存知のことと思います。
 音楽としてはビートを適度に利かせつつ、サンバ、ポップス、ロック調の曲を作ったりするものの、出来上がったものはモーリアサウンド以外の何物でもありませんでした。オリジナルの良さを生かしながらも
「色彩」や「輝き」を注入し、まったく別物のサウンドを作り上げた抜群のセンスは彼ならではのものだったのかもしれません。
 「聴いて気持ちいい」から「聴いて感動した」、「心に残った」音楽をはじめてイージーリスニング界で成し遂げた人こそ、ポール・モーリアであることに異論がある人はいないでしょう。


恋は水色

蒼いノクターン

レイモン・ルフェーブル
(Raymond Lefèvre, 1929 - 2008)


イージーリスニング系アーティストの中では最もクラシカルな雰囲気を持ち、彼の手にかかると通俗曲もポップスも格調高く洒落たイメージの曲に生まれ変わったものでした!色彩感や陰影に富む独特のサウンドは常に洗練されており、改めてフレンチイージーリスニングの奥深さを感じさせてくれたのでした。
ソロ楽器の使い方が非常にうまく、それぞれの楽曲を印象的で暖かみのあるものにしています。アレンジに関しては天才的な能力を発揮したものでした!特に「シバの女王」、「ソロモンの夢」、「哀しみの終わりに」などはルフェーブルでなければ実現不可能だったアレンジの名曲の代表格でしょう!


哀しみの終わりに

シバの女王




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